私の生活
翌日の取引資料を整理してロウアーマンハッタンからハドソンリバーを見下ろす。
熱いカプチーノを飲みながらベーグルを食べる。私の清涼なひととき。
今、この街は日本人の若者であふれています。

日本が夏休みということで、中学、高校の修学旅行や短期留学が何校も来てい
るのです。週末のフェリー乗り場などは、もう右を見ても左を見ても日本人という
感じです。マクドナルドにも日本人、KFCにも日本人、もうすごい。日本人の専
用カウンターを作ったほうが良いんじゃないか?これには、アメリカン
もびっくりでしょう。昨年はこんなに来てたっけ?

私は個人的に、日本人がたくさんいる外国が嫌いです。ここは志賀高原か?
と思ってしまうコロラドのスキー場も好きだし、けっこう日本語が通じたり
するホノルルも大嫌いです。が、もし、この時期に一般の旅行者がこの街に来
ていたら、な、なんだこれは? と、少しがっかりするかもしれません。

たまたま、高校生たちと話す機会があったのですが、好きなタレントはヒロスエ
やボケビだそうです? ヒロスエさんは知ってますが、あとの方はぜんぜん知ら
ない。彼らの話では、ヒロスエさんは来年早稲田大学に進学するそうで、彼らも
早稲田に行きたいそうです。
実は、私は早稲田大学の人事部に親友がいて、内部事情もかなり知っている
のです。フッフッ、真実は言えませんがね。

ところで、私の通っていた高校は当時としてもかなり自由な校風で、例えば、当
時ほとんどの高校が免許をとることすら禁止されていたバイクでの通学を認め
ていた。学校に年2回くらい、白バイ隊員がやってきて講習会を開き、通学する
者はこれを受講することを義務づけられていた。理由は、「国が16歳からと決め
ているから」とのことだった。でも、不思議と暴走族風の人間はいなかったと思
う。みんな自然に通学の足として使っている感じだった。

また、「生徒同士の暴力行為は3日間の停学、教師に対する暴力行為は即退
学」という良くありがちな校則があった。あるとき、同級生のひとりがある教師と
言い争いになり、ついに暴力をふるってしまった。教師に、「おまえは退学だか
ら、帰れ」と言われ、その日はふてくされて帰った。翌日、彼が登校すると一枚
の紙切れを渡された。それには、「強制退学通知書」とあり、ご丁寧に学校長の
印鑑まで押してある。翌日、その生徒の親がやってきて、息子の将来をめちゃ
くちゃにする気か、と担任の先生に食い下がったが、「そういう校則のある学校
であることをわかって入学されたと理解しております。わたしどもは義務教育で
はありませんので。」と。
なおも詰め寄る親に対しその担任は、「こういう方法もある」と、大検のパンフ
レットを差し出したという。

で、親が心配した息子の将来であるが、彼はその後、大検にパスし、某国立大
学を卒業して、今は官僚として国政に携わっている。
他人が個人の将来をめちゃくちゃにするのは難しい。
余談ではあるが、私が卒業し、彼が強制退学になったこの高校からは、小渕内
閣の閣僚のひとりも輩出している。

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昨日、職場に50歳くらいの紳士が私を訪ねてきた。
栗秋と申しますと言うその男性の名刺には、「N女学院高等部・教頭」とある。
157人もの生徒の短期留学の責任者として、この街に滞在しているこの紳士は
Teachers Collegeに通っていた時の私のクラスメイトで、今はシカゴ大学で医学
を専攻する友人の父親だった。

仕事を終えてから、彼と夕食をともにし、私の高校時代の事、彼の高校の事、
娘さんの大学の事、いろいろ語った。

バイクに乗って通学していて、「近頃の若者は・・」と当時いわれていた私も、
すっかりおっさんになり、「最近のわかもんのことは、理解できん」などと言ったり
しているが、いつの時代も若者はそういうことを言われ、その若者が大人になっ
たときは、おなじことをのたまうのであろう。
日本に帰ってみたくなくなった。

映画の帰りにバーで少しだけ飲んで、車を運転した。交差点で黄色信号を
すこし強引に渡ったら、どこにいたのかパトカーに停められた。
そして案の定、飲酒の検査をさせられることに。
最初、簡単な機械を口元に近づけられ、住所を言わされた。
機械が反応して、「FAIL」と表示される。何を何処でどれくらい飲んだ
のか詳しく質問され、こんどは大きな大袈裟な機械を出してきて、検査
されることになった。大きく息を吸い込んで一気に吹き込む。機械が
反応して、「PASS」と表示された。

この国では、飲酒運転は程度によって認められている。
人によって違うが、ビールだと1-2本くらいなら問題ない。この日私は
ビールを2本だけだったので、まあ大丈夫だろうとは思っていたが、精神
衛生上よくない。もし、精度の高い方の機械で既定値を超えていたら、
いろいろめんどうなことになる。
やっぱり、飲む時は運転しないほうが気分良く飲める。

それにしても、バーに駐車場があって、飲んでいた人が堂々と運転して
帰っていくという場面は、日本では考えられない事で馴染めない。
こういう制度は、いったい良い事なのか悪い事なのか・・・?

エンバイヤーステートビルにて

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