「彼」の部屋
彼が死んでもう7年が過ぎた。
月日が流れるのははやいもので、 いつのまにか僕も彼の年齢を追い抜いてしまった。 彼はどこへ行ってしまったのだろう。 僕たちに熱い言葉を残して・・・。 彼の死を聞いたのはLAからの帰りの飛行機の中だった。 ちょうど僕は新婚旅行からの帰りで、 しばらく聞いていなかった彼の名前をこんなところで聞くなんて・・・と愕然とした。 マスコミはこぞって若者の教祖の死っていっていたけど、 当時、彼のカリスマは僕の中では色褪せていたようにみえた。 街でさまよう若者たちを「狼」だとすると、もう僕は昔彼のいった「豚」の年代になってしまったのだろうか? 時は流れ、人はやがて家族を愛するようになる。 それは決して怒りのエネルギーを失った退廃した姿ではないだろう。 家族を愛し守りたいということは人間として自然なことだろう。 しかし大衆は家族人となった彼を認めなかった。認めようとはしなかった。 彼はそのギャップをどう埋めようとあがいていたように思う・・・。 時代は流れ、思い出は色褪せていく・・・。 彼の幻影もいつかは薄らいでいくのだろうか? |