スコンの作り方

紅茶だけでもおいしいが、 紅茶を飲むとお菓子が欲しくなる。 そこで今日は紅茶に最適のスコンというお菓子の作り方を紹介しよう。

スコンというのは、パンのような、 ビスケットのような、 クッキーのような、 あるいは、パイ皮のようなお菓子である。 イギリスではポットの次に紅茶に欠かせないものとされており、 日本でもハイティーの用意ができるところなら、 スコンも出してくることが多いようだ。

さて、それほど大騒ぎになるスコンだが、 お菓子として言えば、 素朴な垢抜けない、つまらないお菓子である。 よほど、そこら辺で売っている二束三文のショートケーキの方が気が利いている。 しかし、これはあくまでも紅茶を引き立たせるためのお菓子なので、 単体での味を論じても意味はない。 引き立て役というのは概してそういうものである。

レシピ

それでは、その作り方を説明しよう。 このレシピだと、 だいたい 30 分もあれば作れる。 必要な道具はオーブンとフードプロセッサだけで、 まあ、現在のたいていの家庭にはあるかと思う。

まずは材料。

  1. 薄力粉、ふくらし粉、砂糖、塩を混ぜて フードプロセッサに入れる。 フードプロセッサを数秒回転させて混ぜる。 なお、塩はバターがお菓子用の無塩バターでない場合には適宜減らす。 具体的な量だが、 多くても一つまみぐらいでいいだろう。 また、砂糖は少ないように思えるが、 この程度でかまわない。 以前に砂糖を多めに入れてほしいと、 親兄弟に言われて、作ってみたことがあるが、 ひどい味になった。
  2. 次にバターを適当な大きさに切って、 1. の粉を入れたままのフードプロセッサに入れる。 当然、バターは溶かしたり室温で柔らかくしたりしない。 ぎりぎりまで冷蔵庫に入れた固いものを使う。 バターを切る際の大きさだが、冬なら 1cm 角程度、 夏なら 2cm 角程度でいいだろう。 バターはお菓子用の無塩バターでも 普通のバターでもどちらでもかまわない。 塩の量を調節すればすむことである。
  3. 2. の材料を入れたら、バターが細くなる程度にフードプロセッサを回す。
  4. 干しぶどうと牛乳を入れて、フードプロセッサを回転させる。 パイ生地ないしはクッキー生地のようになったら、 終わり。
  5. トレーないしはお盆に強力粉を一つかみ程度敷いて、その上に上の生地を置く。 このあたりから、オーブンの予熱を開始する。 温度設定は 200 度。
  6. 生地をパイ皮の生地を扱うように、 伸ばしてたたんで、また伸ばしてたたむ。 この操作を、何回か繰り返す。 最終的に、厚さ 7mm 程度にまとめる。 なお、多少粉っぽくなってもかまわない。 むしろ、粉っぽいくらいが紅茶にはあう。
  7. 型で生地を抜く。 この辺はクッキーを作る要領。
  8. 天板に上の抜いたものを並べて、 飾りのこげがつくように牛乳(分量外)を刷毛で塗る。
  9. 予熱しておいたオーブンで 200 度で 15 分焼く。

上記が作り方である。 夏場は生地が扱いづらくなるので、 その場合には適当に冷蔵庫に入れて冷やしてから作業するとか、 寝かせるかする。 この辺は、かなりパイの作り方に似ている。

食べ方

そのままかじってかまわない。 私は紅茶を飲みながら、 ぼそぼそとかじっているだけである。 甘みもなく、ぼそぼそとしているところが、 妙に紅茶にあう。

しかし、正式には、 スコンを半分にきり、 クロテッドクリームとジャムを はさんで食べるらしい。 いうまでもなく、この食べ方が一番おいしい (だから、砂糖は少なめにして作るのである)。

クロテッドクリームは、バターとクリームの中間のようなもので、 ちょっとしたデパート程度なら扱っていることがある。 輸入高級食材店に行かなくても、 日本の中澤乳業が販売している。

とにかく、ぼそぼそして、粉っぽいお菓子だが、 紅茶と一緒に食べることを考えるとこれはこれでいい。 パンとクッキーそしてパイの中間にあるようなお菓子なので、 結構おなかはふくれる。 ある程度作っておけば、 軽い朝食の代わりにはなる。

日持ちはするが、3 日が限度だろうと思う。 別に 1 週間たっても中るということはないが、 やはりまずくはなる。 一番の食べごろはまだ熱いうちで、 その点からいえば、あまり作りおきしないほうがいいのかもしれない。

あまりに素朴なお菓子のために、 ついつい色々なものを入れたくなる。 たとえば、 クルミを入れたらどうかとか、 レーズンの代わりにその他のドライフルーツを入れたらどうかなどといった誘惑には初心者は弱い。 しかし、 いじればいじるほど、まずくなることには注意しよう。 これはこれで完成された味なのである。

引き立て役はでしゃばってはいけない。 主役は紅茶である。

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