黒イ点々
例えば其れは
うたた寝から
醒める瞬間の
ぼんやりとした視界の中に
安楽椅子から
立ち上がる時
立ち眩みで白くなった
吐き気のする意識の中に
其れは
見えるのです
一面の白を
小さな小さな
黒い点々が
埋め尽くしてゆく様が
白は
一枚の紙の様でも在り
境目も見えない程の
真白い部屋の様でも在り
四角く切り取られた
何処かの風景で
其処を
芥子粒程の大きさの
無数の
黒い点々が
徐々に埋め尽くしてゆくのです
始めは
ほんの少し
其れが
あっという間に
白一面に拡がって
空間は
塗り潰されるのです
黒い点々が
拡がる様は
血の飛沫が
掛かる様でも在り
雨粒が
落ちて来る様でも在り
蟲に喰われる葉の如く
白を
潰してゆくのです
喰われ
潰され
消えゆく白は
私の清い心で在るか
喰らい
潰して
埋めゆく黒は
卑しい世間の眼で在るか
黒イ点々
黒イ点々
点
点点
点点点
点点点点
点点点点点
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喰らい尽くせ
黒い点々