サイト論というのをよく見かける。 それは、 感心しないページは何かといった類の話題である。 人によっては、感心しないページがムカつくページであったり、 無意味なページであったりすることもあるが、 いわんとするところは変わらない。 この手の話題は、 テキストサイトのみならず、 個人ページのコラム・日記的なコーナーでもよく見かけることができる。
世の中には実に多くの人がいて、 実に多くの意見や考えがある。 が、 そういう感心しない話題を扱ったページの典型として挙げられてあるものはだいたい決まっている。 考えてみれば、不思議といえる。 さて、 そういったページの代表格が次のようなページである。
私事ながら、 筆者も確かに上記 1 から 3 に該当するページは自ら見ようという気にはならない。 たとえば、 トップページ等のメニューにペットのページへのリンクがあったとする。 すると、なぜかそこだけパスしてしまう。
それでは、ペットというものは話題としてよくないのかというと、 そうでもない。 ペット好きの人は決して少なくないはずだ。 また、 人のペット自慢なんか面白くないという人もいるが、 それも決定的な原因とは思えない。 ペット自慢専門のテレビ番組があるくらいだから、 ペット話がいけないわけではないし、 人のペット談義がつまらないわけでもないだろう。 もしも、 人のペット自慢がつまらないというのが そんなに普遍的な意見であるなら、 そんな番組にスポンサーがつくわけがない。
というわけで、 ペット談義がまずいわけではない。 問題は別にあるということで、 その問題点を克服すれば、 みんなに親しまれるペットのページができることになる。
前置きが長くなったが、 今回は、 親しまれるペットのページの作成法を研究してみよう。
テレビのペット番組が人気があるのに、 web ではそうでもない理由の一つとして、 動きの有無があげられるだろう。 これに気がつけば話は簡単である。 ペットの動画を配信すればよい。 この場合、 転送されるデータがあまりに膨大であるということが問題になるが、 幸いなことに、 世は挙げてブロードバンドである。 100MG のデータでも躊躇してはいけない。 ペットが走り回る様をインターネットで配信すれば、 きっとみんなに喜ばれるに決まっている。
あるいは、 常時接続の時代ならではの工夫として、 家にカメラを設置し、 ペットの様子を中継するという方法も考えられる。 この応用として、 隣の女性の部屋にカメラを設置して、 みんなで観賞するということもできる。 こちらの方が、 アクセスが伸びることは間違いない。
ペットというと動物一般を連想してしまうが、 ページで紹介した際に嫌われるのは、犬と猫である。 つまり、陳腐さが人の見る気をそいでいることになる。
そこで一風変わったペットのページを作ることを推奨したい。 そのとき問題となるのは、 主役となるペットの選択である。 いまどき、 カメレオンやウーパールーパーごときでは、 目の肥えたネットワーカを引き留めるのは難しい。 そこで読者の参考までに、 筆者の知人が飼っている珍しいペットを紹介しよう。
最初は、 隣の家の飯田さんが飼っている セグロアシナガゴマフラッコ である。 どうみても、 普通のアメリカンショートヘアにしか見えないが、 飼い主の奥さんが セグロアシナガゴマフラッコ であると主張されているので反論の余地がない。 奥さん大丈夫か?
飯田さんのお宅にお邪魔して観察したところ、 ラッコといいつつも 普通に座敷を歩いているので、 水槽もいらず飼うのには手ごろである。 それに、なるほど、 ラッコのように腹を上にして寝たりもする。
飯田さんの話によると、 来春には、 オスとつがいで飼って、 セグロアシナガゴマフラッコ のブリーディングをはじめるそうだ。 隣家のことながら、 楽しみである。
次は、 筆者の職場の富田嬢である。 彼女は一人暮らしの寂しさを紛らわすために、 ペットを飼おうとしたが、 昼間は出勤でずっと家をあけているために十分な世話が出来ないという。 さらに、 都会のマンション暮らしで犬や猫は御法度のこと。 そこで彼女が目を付けたのが、 ジュウシチネンゼミである。 ほとんど手間もかからず、 一人暮らしの働く女性には、うってつけだという。 ただ、悩みもないわけではない。 地上にでてくるまでまだ 15 年もあり、 それまではページが更新できず、 手持ち無沙汰だということだ。
最近近所に引っ越してきた落合さんは新婚である。 奥さんの彩香さんは、 インターネットにページを持っている。 彩香さんによれば、 すでにペットのページは作っているとのこと。 さっそく URL を聞いて、 アクセスしてみると 『閨房調教師あやかの部屋』 などとあり様子が変だ。 ペットのコーナーをみると、 「はぁ〜い。あやかのペット見てね(^_-)-☆」 などとある。 それをクリックすると、 憔悴した夫の健一さんの緊縛写真が見える。 どうも、落合さんのお宅の旦那さんを見かけないと思ったが、 そういう事情であったかと納得してブラウザを閉じた。
ちなみに、 筆者の実体験によれば、 結婚というものはただひたすらに、 緊縛に耐えることなので、 健一さんにもはやくに悟っていただきたい次第である。
このほかにも色々な変わったペットが考えられるので、 ペットページのマンネリ化に悩んでいるなら、 この方法も一考に値するといえよう。
ある程度文章力があるのなら、 主客転倒の妙を狙うのもいいだろう。 つまり、サイト全体をペットのページにし、 プロフィールにペットの紹介、 ペットのページの代わりに飼い主のページを置くことにするのである。 ただし、 あくまでも主役はペットであることに留意すること。 ペット目線でサイトの設計をするのが肝心である。 この手法は明治の文豪夏目漱石が『我が輩は猫である』で使っているが、 今でも新鮮な手法といえる。
例えば、 以下はネットで見つけた 『飼い猫は見た』 というサイトからの引用である。 サイト管理者は高校生らしいが、 あくまでも、 『大沢飼い猫紹介所』 からやってきた猫の視点でサイトが構成されている。
今年高校二年生になる次女の知子ちゃんには、 どうも淫奔なところがあるようです。 私がベットで丸くなって寝ていると、 いきなり床に蹴り落とされました。 痛がっている私を後目に、 突然パンティをおろし…。 人目がないのをいいことに、大胆に足を広げ…。 …指を…。 はぁはぁ…と、…。
このように、 主客転倒の妙が遺憾なく発揮されており、 この手法を試みたい読者には推薦できるサイトといえる。 なお、残念なことに、サイト管理者からリンクの許可がもらえなかったので、 このサイトは、各自で探して頂きたいと思う。
こういう感じで、 ペットから見た飼い主の観察日記を書けば、 大あたりは間違いない。 また、 すでに日記サイトを運営している人もペット目線で自らの日記を書けば、 普段は書けない大胆なことがらも書け、 日記自体も新鮮味を帯びることだろう。
アパート・マンション住まいでペットが飼えない、 あるいは、 世話をするのが面倒という人もいるだろう。 が、人並みにペットのページは作りたい。 そういう向きには 架空のペットを飼うことを勧める。 想像の産物なので、 面倒を見る必要もなければ、 家が臭くなることもない。 そして、 イマジネーションさえあれば、 あなたも今日からペットページがもてる。
ここで、 一点注意しておこう。 折角の架空ペットなのだから、 犬や猫ではつまらない。 だからといって、 キメラ、 ユニコーン、 ケンタウロス、 コカトリス などは陳腐の最たるものなので逆効果である。 ボルヘスの『幻獣辞典』に出てくるような動物では 通をうならすことは出来ないことだけは肝に銘じておこう。 出来れば、 スベスベマンジュウガメ とか ショウリョウギツネ 等といった架空の絶滅危惧種がよい。
さて、 こんなペットページ指南を書いていたら、 近所の大学生の水田君から 架空ペットのページを作ったので見てほしいと、 メールがきた。 彼は典型的なオタクで、ネットにもはまっている。 もっとも、読者同様、 いまどきオタクなんかで驚く筆者ではない。 それに、 彼は単なる内気な青年で、 ちょっとだけある種の方面に詳しいだけの善良な一市民に過ぎないと、 水田君の弁護だけはしておきたいと思う。
とにかく、メールに記された彼のページを見に行ってみた。 なんと、 ネコミミワタユキウサギ の飼育日記を書いているらしい。 これは珍しい。 しかも、 『ありさ』という名前まで付けている。
飼育日記によると、 道ばたでうずくまっていたのをみかけ、 可愛さのあまり、 つい拾ってきてしまったということらしい。 なかなか、もっともらしいことが書いてあるではないか? やはり架空ペットページはこうでなければならないと、 感心した。 さらに、写真まで用意してある。 見れば、 その写真には コスプレイヤー御用達のネコミミ・ティアラをした 全裸の少女が写っている。 いくらなんでも、なんか様子が怪しい。
そういえば、 四年くらい前に裏の朝永さんのお嬢さんの亜梨沙ちゃんが行方不明になったが、 未だに消息はしれないらしい。
もしや…。