紅茶飲料

新幹線が来るまで、結構余裕がある。

喉が渇いた。 そういえば、昼から、色のついた水程度の紅茶も飲んでいない。 私は Kiosk で『午後の紅茶』のペットボトル入りを買い求めた。 新幹線の Kiosk だから、値段はちょっと高い。

その『午後の紅茶』だが、 『ストレート』と書いてあるもので、 砂糖入りだ。

ちょっと、色のついた水程度でもいいから紅茶を飲みたい。 そう思って、 自販機の前に立つと、いつもがっかりする。 お茶だけのものがない。 たしか、Java Tea とかいう缶入りの紅茶飲料だけは、 砂糖が入っていない。 だから、 それがあれば、何をおいても、Java Tea を買う。 しかし、自分の経験の範囲でいうと、 これを販売している自販機はそんなに多くはない。

もしも、砂糖抜きの紅茶飲料が見つからない場合、 仕方がないので、なるべく砂糖の入っていなさそうなものを買う。 ミルクティーなんか論外だし、 レモンティーもなるべく避けたい。 ミルクティーは牛乳の鮮度のことを考えると怖くて飲めない。 レモンティーはほとんどの場合 レモン果汁が入っているので、 まるでレモネードを飲んでいるようだ。 酸味をごまかすために、砂糖も多く入っていることが多い。 いずれにしても、 飲んだあとに、『味』がとどまりつづけ、 渇きを癒そうとして飲んだのに、 かえって渇きを呼んでしまう。

そう思っていると、いつもいつも、次善は 『午後の紅茶』のストレートになる。 もっとも、これだって、結構な量の砂糖が入っているが…。

ひとくち口に含んで、転がしてみる。 紅茶の香りと味が感じられなくもない。 セイロン茶ベースである。 もっとも、家でいれれば、 香りも味も十分に楽しめる濃い紅茶が飲めるのだが、 新幹線のホームではこれが限界だ。 しかし、それでも、紅茶の味は私の気持ちを和ませてくれる。 「ほっとする」という言葉は、 こういう時に使うのかもしれない。

しまった。

ほっとしたのも一瞬で、 のどの渇きは一向に癒されないことに気がついた。 むしろ、最初から飲まなかったほうがよかったぐらいだ。 また、一口飲む。 そして、また、喉の渇きをおぼえる。 その繰り返しのうちに、 ペットボトルの『午後の紅茶』はあっという間になくなり、 おかわりを Kiosk に買いに行こうにも、 列車はもうすぐホームに入ってくる。

脱線するが、いつもいつも、私は乗る直前に特急券を買うために、 15 号車とか 16 号車とかに座席を割り当てられることが多い。 とにかく、私はホームの端にいたので、 悠長に Kiosk まで買い物に行く時間はもうなかった。

仕方がないので、 目の前にあった自販機の 『壮健美茶』 というものを買って、入ってきた新幹線に乗り込んだ。 下手な紅茶飲料より、 よほどこちらの方が喉の渇きを抑えてくれた。 それはそれで嬉しかったが、 また、寂しくもあった。

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