ビルジョイのエディタ

大きな宿題を終えたせいか、例によって悪ふざけの 雑文 上手な文章の書き方 を書いてしまった。 その雑文の中に type コマンドを使ったエディタの話を書いたが、 あれは実はモデルがある。 もっとも、計算機の知識のある人なら誰でも知っていることだが。

エディタといえば、知名度が高いのは GNU Emacs だろう。 多言語を処理するための Mule というエディタもあったが、 現在では Mule の開発はストップしている。 最近の emacs に、その機能が統合されたためだ。

しかし、エディタの中でももっとも知られているのは vi というエディタである。 大抵の UNIX マシンには最初からインストールされている。 UNIX なんか関係ないという人もいるだろうが、 レンタルサーバなどで使われている OS のほとんどが UNIX であり、 サーバの数だけ vi はインストールされているといってもいい。

この vi エディタだが、 これを書いたのはビルジョイという人である。 今では、 Sun Microsystems という世界最大のワークステーションの会社の重役をやっている。 あるいは、Java を考えた (正確には何といえばいいのだろうか? ちょっとわからない) 会社とでもいえば、わかりやすいかもしれない。

で、そのビルジョイだが、ある雑誌を読んでいたら、

% cat > file.c

というふうにして、 プログラムを書いていたという伝説がある。 ここで、 cat というのは、 MS-DOS の type コマンドと同じものだと思ってもらえれば充分である。

perl でも、B-shell でもなんでもいいが、 プログラムを書いたことのある人ならすぐにわかる通り、 プログラムのソースコードを書いていると、 前後のスクロールができないと、 変数や関数などのつづりを思い出すのに苦労する。 それに、編集中の書き直しが必要となることも多い。 しかし、/bin/cat を使っているかぎりそんなことはできない。 おそらく、それが伝説といわれる所以なのだろうが、 短いようなちょっとしたプログラムなら、 /bin/cat で書いていた可能性も考えられなくもない。

ちなみに、C shell の本で、原著者ウィリアム・ジョイというのを 見かけるが、これもビルジョイと同一人物である。 というか、ウィリアムの愛称がたしかビルだったはずで、 ビルゲイツもウィリアム・ゲイツな筈だし、 キャンディキャンディの ウィリアム大おじさまは、 ビル・アードレーでもいいはずだ。 もっとも、ミドルネームをどう処置したらいいのかは私にはわからないが。

まあ、こんなことは大部分の人が知っているだろうが、 ウィリアム・ゲイツについては、 勘違いする人もたまにいる。 このページにそういう実例 がある。 これで信じられない場合には、 マイクロソフトの役員紹介のページ をどうぞ。

どうでもいいが、キャンディキャンディについては キャンディキャンディ歴史考証研究会 というページがあって、世間の広さに驚く。 いや、キャンディキャンディのページ自体はあってもおかしくないと思うが、 ここまで掘り下げたページははじめてだった。

さて、一口に vi エディタといっても、現在では色々な種類がある。 そういうことを知りたければ、 vi エディタの色々を扱ったページがある。 The Vi Editor and its clones がそのページで、英語だが、面白い。 いずれにしても、世間は広いと感心してしまう。 vi の蘊蓄ページなんていうものがあるとは思わなかった。

最後になるが、 ビルジョイ直筆(?) の vi エディタと C shell のソースコードは入手可能で、 かの McKusick.COM のページで BSD のソース を販売しているので、それを買えば CD-ROM の中に vi のソースを見いだすことができるだろう。

きょうは、ちょっと偏った話題で申し訳ありません。

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