Trojan Meister



 私が警察にその存在を認知されてから、今年でちょうど二十年になる。
 私はその日友人と一緒に大森の交通公園から京浜東北線に投石し、そしてその30分後にはパトカーに乗せられ大森警察署の少年課に連行されていた。それらの行為は決してその年の四月二十七日にアフガニスタンで起きたクーデターに誘発されて計画的に実行に移されたわけではなく、だた偶然の積み重ねによってそうなったにすぎないのだが、結果的に私はテロリストとして華々しくデビューを飾り、その日私の人生は宿命付けられることとなった。そしてまたこの文章を読んでいる君も、偶々私のHPを訪れたことによりもはや既にありきたりの一般人ではなく、より高いプライドを持ち自分自身を律して生きていくことを宿命付けられたのだと言っても過言ではない。

 そのような誇り高き君に相応しい力を与えるべく、私は
最新鋭Trojan「NetBus v1.7」 の使い方を解説しようと思う。

Chapter 1
 世間に出まわっているTrojanの種類は数限りなくあり、それら全ての使い方に精通している必要はない。今ならばやはりNetBusだろう。このTrojanは、「Final Phase」で紹介したICQtとはまったく比べ物にならないほど動作が安定しており、さらにファイルの転送に関しても十分に満足のいくパフォーマンスを発揮してくれる。その上、例えばターゲットの室内の音声(最大で十秒だが・・・)をwavファイルで入手し聴いたり、ターゲットのPCのスクリーンショットを見る事も出来る。はっきり言えば、必要と思われる機能は全て揃っているのである。あえて難点を挙げるならば、483KBという素早く送り込むにはやや巨大すぎる「鯖」のサイズや、あまりに有名になりすぎてしまったために素人にも簡単に発見されてしまうといった事などだろう。だが、それらを補って余りある程に使いやすいのもまた事実だ。
 では、早速使ってみよう。下のSSを見て欲しい。接続してから目的のファイルをDLするまでの手順をA〜Fで示してある。


 ターゲットのIPを入力する。
 「Connect!」と書いてあるボタンをクリック。
 (このSSは既に接続済みなので「Cancel」と表示されている。)
 接続されるとこのように表示される。
 File managerの窓を開く。


 相手のHDD内のリストを表示する。
 目的のファイルを選択してからこのボタンをクリック。

Chapter 2
 かつて、諜報活動に欠かせない小道具の一つに盗聴機というものがあった。ソファーに切り込みを入れて押し込んだり、電話機の受話器の中に忍ばせたり、設置するまでに色々なリスクが伴った。だが、これからは多少変化が見られるだろう。相手のPCの電源が入っている限りにおいて、NetBusの鯖は相手の室内の音声を拾うことが出来る。(今現在は最大10秒で音質もいまいちなので、この機能に関しては暫しバージョンアップを待たなければならない。)

 
 
 1. 「Play sound」(G)で、作成するwavファイルのパスを設定する。
 
 2. 次に、「Sound system」(H)をクリックすると左のSSのような窓が開くので、希望の秒数を入力してから「Record now!」。
 
 

Chapter 3
 NetBusがICQtに対しその優位を揺るぎ無いものにしている理由の一つに、ターゲットが再起動するごとに鯖がAutoStartするようレジストリを書き換える点がある。
 もちろん、IPはつなぎ直すたびに変わるのでそのたび毎にスキャンしなければならないのだが、NetBusにはスキャナーも標準装備されている。
 「Scan!」(I)がそれだ。
 鯖が発見され摘出されていない限り、これで何度でもターゲットのHDDに進入する事ができる。
 では、NetBusが削除されていたらどうするか。ICQtに接続してみよう。NetBusが見つかっていても、ICQtが削除されずに残っているケースが往々にしてある。ここに、ICQtの存在意義がある。
(もっとも、ICQtで483KBもあるNetBusの鯖をもう一度送り込むのにはかなりの忍耐力を必要とするが・・・。)


 当たり前のようにターゲットのPCを自由自在に操れるようになった君は、そろそろある疑問を抱き始めていることだろう。相手のHDDの中を覗けたからどうだというのか。相手のPCを廃棄処分にしたところで何が得られるのだろうか。最初の感動は薄れ、一体この行為にどのような社会的意味があるのかと思い悩み始めている事だろう。確かに、HDDの中から「BM」と「mail」を抜き取り解析すれば、かなりの確立で相手の本名や住所(補助的調査を必要とするが・・・)を特定する事が出来る。そして、それは即ちターゲットの近所の電信柱の影に潜み、帰宅してきた「厨房」「半端者」「ボルシェビキ」にその後頭部で金属バットの硬さを十分に確かめさせる可能性を生み出す。だが、はたしてそれが我々の最終目標だったのだろうか。

 勿論、時にはそれも必要だろう。だが、そのような風紀委員的社会的役割は任侠道に生きるヤクザが担当するべき事であり、我々の仕事ではない。誇り高き電脳狩猟民族の末裔である君達はもっとマクロな次元で物事を考えなければならない。

 私はかつて「新しい権利には新しい義務が付随する」と書いた。確固たるプライドが、虚構ではなく仮借なき論理の上に堅牢にそびえ立つ真実である限りにおいて、私は君達が迷わず次のステップに進むであろう事を信じて疑わない。
 
Agitated by HIRO_MU 
 


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