人並みに携帯電話を持つようになって、 二、三ヶ月がたった。 七十近い両親に遅れること三年である。
携帯電話には否定的な私だったが、 それでも、 最初のうちは、 新しいおもちゃを与えられた子供のように 色々いじくってみた。 こういう設定の変えられる余地のあるものに接すると、 とにかく変更したくなるのが私の性分である。
最初はかなり凝るかなと思ったが、 結局ほとんど設定を変更しなかった。 自分でもこれは意外だった。
着メロも最初は、 着メロサイトからダウンロードしようかと思ったくらいだったが、 数日使ってみた結果、 その方面のカスタマイズは嫌になってしまった。
どこに行っても、 どんなときでも、 携帯電話の音は嫌われる。 だから、 『鳴りもの』 に凝っても、 凝り甲斐がない。 それで嫌になってしまった。
それでも、 私はカスタマイズを試みた。 それは、 操作音を消すことと、 マナーモードにすることである。 そして、 マナーモードに切り替えるのを、 忘れる人が多いように、 私の携帯電話も 常時マナーモードになったきりである。
携帯電話にとっては、 さぞかし悔しいのではないかと思う。
関係ないが、 このほかに行ったカスタマイズは、 インターネットからのメールを遮断することだった。
だから、 私の携帯電話はとても静かである。 電話にはかわいそうだが…。